(東京工業大学ホームぺージ「東工大ニュース」より転載)
物質理工学院 応用化学系の教授で地球生命研究所主任研究員の吉田尚弘博士が、米国地球物理学連合(American Geophysical Union 。以下、AGU)のフェローに選出されることが決定しました。
吉田尚弘教授
AGUは、米国の首都に本部を持つ地球・宇宙科学分野の国際的な組織で、世界の137の国と地域に約6万人の会員を有し、創立100年の歴史を有する世界最大の学術連合です。
AGUは1962年以来、全会員の中で0.1%以内の、地球・宇宙科学分野に偉大なる貢献をした会員を相互に選出し、AGUフェローとして顕彰しています。授賞式および招待講演は約3万人が参加する秋季大会(今年はワシントンDCで12月に開催)において行われます。吉田尚弘教授のこのたびの授賞は、同位体置換分子種の新たな計測法の開発と生物地球化学と大気化学研究への応用による貢献が評価されたものです。
吉田教授は今回の授賞により、現在の本学教員では地球生命研究所所長の広瀬敬教授に次ぐ2人目のAGUフェローとなります。(*ELSI注)
吉田尚弘教授のコメント
本授賞の対象となった研究は分子の基盤的解析法の開発とその地球宇宙科学への応用です。一つの分子種に「同位体置換分子種」が多数存在すると予想されていながら、計測困難であったものを計測可能にしてきました。分子種計測をいわば、白黒からカラーに、さらにその色彩解像度をあげてきたものと言えます。これにより分子の「色」を調べることで、その分子の起源やサイクルをより正確に解析できるようになります。
本研究のアイデアは本学学生当時から持ち続けたもので、恩師、研究室の皆さん、国内外の共同研究者、学生の皆さんと政府系研究支援機関に心よりお礼申し上げます。また、教員として戻り20年間、自由闊達に研究させていただいた本学の皆様に厚くお礼申し上げます。
上の写真は、1996年から科学技術振興機構(JST)/戦略的創造研究推進事業(CREST)研究代表者として提案した、高分解能同位体質量分析計の基本設計をもとに最近ドイツのメーカーが市販化した装置です。昨年採択の2回目となる日本学術振興会の科研費基盤研究Sにより、今春、地球生命研究所に導入し研究に供していますことも不思議な同期です。
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(*ELSI注) 地球生命研究所所属の研究者では、吉田教授は広瀬敬所長、George Helffrich教授に次ぐ3人目のAGUフェローとなります。