ELSI

ニュース・広報

研究ハイライト

地球生命研究所の車兪澈特任准教授の提案課題「ミニマルゲノムから成る人工細胞の構築」が(独)科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(さきがけ)に採択されました。

地球生命研究所の車兪澈特任准教授の提案課題「ミニマルゲノムから成る人工細胞の構築」が(独)科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(さきがけ)に採択されました。
JSTの発表内容はこちら

戦略的創造研究推進事業(さきがけ)は、科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、国が定めた社会的インパクトの大きい戦略目標の達成に向けた、独創的・挑戦的かつ国際的に高水準の発展が見込まれる基礎研究を推進するものです。

研究の概要
研究領域:ゲノムスケールのDNA設計・合成による細胞制御技術の創出
研究課題名:ミニマルゲノムから成る人工細胞の構築
研究期間:平成30年10月~平成34年3月

今回採択された研究提案は、細胞が生きるために必須な最小限の遺伝子のみからなるミニマルゲノムを構築し、人工細胞に導入することで生命現象の創発を理解することを目標としています。細胞は様々な代謝を内部で動かすことでその生命現象を成立させています。ゲノム複製・遺伝子発現・膜合成・エネルギー生産などは、極度にシンプルな細胞においても共通して保有する代謝であり、そのため生きるために必須の細胞機能だと考えられます。プロジェクト内では、特に脂質合成代謝やゲノム複製系に着目し、これらの代謝を創発する人工細胞の構築に挑戦します。車研究員はこれまでに、無細胞タンパク質合成技術と脂質膜小胞を組み合わせて、様々な細胞機能の再現化を行って来ました。分子を組み合わせることで人工的に生命現象を生み出すことができるのか、そこにある普遍的な原理とは何か、という問いに対して答えを出すことを目指します。
このような人工細胞研究は、地球生命研究所のミッションである"「生命の起源」を明らかにする"ための重要なアプローチの一つです。初期地球環境で作られた分子が重合や自己組織化を経て構造的・機能的複雑さを増し、自己複製する細胞へと進化していった、その道筋を追うことにつながる研究です。

Kuruma_201809.jpg