地球生命研究所の青野真士研究員の提案課題「アメーバ計算パラダイム:時空間ダイナミクスによる超高効率解探索」が(独)科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(さきがけ)に採択されました。
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戦略的創造研究推進事業(さきがけ)は、科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、国が定めた社会的インパクトの大きい戦略目標の達成に向けた、独創的・挑戦的かつ国際的に高水準の発展が見込まれる基礎研究を推進するものです。
研究の概要
研究領域:素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成
研究課題名:アメーバ計算パラダイム:時空間ダイナミクスによる超高効率解探索
研究期間:平成25年10月~平成29年3月
今回採択された研究提案は、生物が環境の情報を効率的に処理する原理に学び、揺らぎや不安定性を利用して計算する従来にはないコンピュータを創り、コンピュテーションのパラダイムシフトを実現することを目標とします。青野研究員は、単細胞生物でありながら高度な意思決定を実現する粘菌アメーバの振舞いから着想を得て、新しい計算原理「アメーバモデル」を定式化しました。アメーバモデルは、膨大な数の組合せの中から正解を探す極めて難しい問題として有名な「充足可能性問題」を、従来の確率的局所探索手法よりも桁違いの高速で解くことができるため、人工知能、情報セキュリティー、タンパクの構造予測など、社会的に重要な様々な応用において大きな威力を発揮するものと期待されます。本研究では、アメーバモデルをナノデバイスにより実装し、超小型・超低消費電力で超高速な計算を可能にする方法論を確立することを目指します。
地球生命研究所は、「生命の起源」を明らかにするために、触媒機能をもつタンパクや自己複製機能をもつRNAが原始地球の環境条件の下でいかにして出現したかを探る実験を進めています。タンパクやRNAは、数種類のアミノ酸やヌクレオチドが鎖状に連結した配列から成りますが、その配列の組合せの数は膨大です。アメーバモデルを応用したシミュレーションにより、生命機能を発現できる配列を高速に発見できれば、実験条件を大幅に絞り込むことができ、生命の起源を探る研究を大きく前進できるものと期待されます。
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青野真士研究員