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イベントレポート

カーシュヴィンク教授による「出前授業」が行われました

2015年7月25日、主任研究者のジョセフ・カーシュヴィンク教授が、スーパーサイエンス指定校の一つである大阪府立豊中高等学校で講義を行いました。この講義は小林厚子研究員がオーガナイザーとなり、実現しました。

タイトルは「The First Snowball Earth and the Origin of Oxygen in Earth's Atmosphere ―地球が凍った日・最初のスノーボールアース(全球凍結)と大気中の酸素の起源―」で、スライドはすべて日本語に翻訳されましたが、講義(1時間半の講義と30分間の質疑応答)はすべて英語で行われました。生徒67名、教員16名の聴講参加者がありました。

スノーボールアース(全球凍結)は、カーシュヴィンク教授が提唱した説で、その名の通り地球全体が氷で覆われてしまった状態のことで、最初のスノーボールアースは約24億年前に起こったとされています。火山ガスにより大気中に供給された二酸化炭素は、大量の金属イオンと結合し炭酸塩鉱物として取りこまれます(固定化)。それが二酸化炭素の減少を引き起こし、温室効果が減少して地球全体が冷えていき、地球全体が凍ってしまったという説です。
やがて地球の解凍がはじまりますが、その時に光合成によって大量の酸素が発生しました。その酸素が大気中に蓄積したことが、現在の大気中の酸素の起源と考えられています。

スノーボールアース説は、これまでに科学番組で放映されたことがあり、また、最近の高校の教科書に記載されているため、多くの生徒たちは知っていました。その説を提唱した本人が直接講義を行うということで、参加者のみなさまはこの日を楽しみにしていたそうです。また、カーシュヴィンク教授のユーモアを交えた英語の講義を聞き取れる生徒が多く、教室から笑いがおき、講義は始終なごやかに進みました。質疑応答の時間では多くの質問が飛び出し、時間を延長するほどでした。

地学の研究を続けるために必要なことは、という質問には、教授はやりたいことを追い続ける情熱と愛が必要、と答えました。また、カーシュヴィンク教授がなぜ物理・化学・生物といった学問を融合させていったのか、という質問には、真理を知るためには、一方向からではなくあらゆる角度から物事を見ることが必要だから、と答えました。


IMG_3424R.jpg大阪府立豊中高等学校の生徒たちとジョセフ・カーシュヴィンク教授