地球生命研究所は学生が学び自立した研究者へと成長する理想的な環境を備えています。生命の起源を探求する情熱があれば、どの分野の学生でも仲間として歓迎します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Woo Man Yin (Jason)理学院 地球惑星科学コース 博士学生▶ 東工大への進学を決めた動機を教えて下さい。 子供の頃から天文学に対する知的好奇心に導かれ、迷わず学士課程の専門に選びました。香港大学の指導教官Lee Man Hoi先生からは、惑星や衛星という基本構造からから出発して宇宙の謎を解明することを教わり、大学院修士課程においては、コンピュータシュミレーションを用い、冥王星の小型衛星の形成や連星重力場における軌道要素の定式化について研究を行っていました。 惑星形成に関する知識を深めると同時に、更に壮大なテーマ「なぜ我々はここにいるのか? 何が地球や生命の誕生へと導いたのか?」という問に興味を持つようになりました。そのためには様々な分野にまたがる研究者と協業する必要があります。融合研究を推進する東京工業大学地球生命研究所は、私の学問的興味によく合いました。また、同研究所の井田茂副所長・教授やRamon Brasser准教授など惑星科学における著名な研究者から指導を受けることができます。私が博士課程に進学するにあたり、東京工業大学地球生命研究所は理想的な環境だと思いました。▶ 地球生命研究所に来て印象的なことは、どんなことでしたか? All-Hands Strategy Meetingに参加したことが最も印象に残っています。この会合は、地球生命研究所に属する異分野の研究者の交流を深めることを目的とし、天文学、惑星科学、地球化学、有機化学、生化学に関する活発な議論が行われました。正直、未だ自説を述べるに十分な知識を持たない大学院生には難しい内容でしたが、様々な分野の研究者と交流し、異分野融合の議論をするという貴重な初体験をしました。そして、将来、見識豊かな研究者になるため、更に研究を深めたいという意欲が湧きました。▶ 研究の内容を教えてください。 惑星科学を専門とする博士課程学生として、地球型惑星形成の研究を行っています。この研究は、生命の起源に関わる科学的課題を解決する鍵になるかもしれません。私は、地球宇宙化学・年代学と融合した多数のN体計算を行い、どの惑星形成モデルが、現在観測される太陽系の地球型惑星の軌道や組成の特徴を再現するかを研究しています。▶ 修了後は、どのような将来を展望していますか? 博士課程修了後は、研究者としてのキャリアを歩みたいです。惑星科学に関するポスドクに応募するつもりで、地球生命研究所のような融合研究所を希望します。▶ 進学希望者に向けてのメッセージをお願いします。 地球上の生命の起源についての答えを探求したい学生さんは、遠慮せず来て欲しいです。生命の起源は壮大な課題であり、様々な分野の研究者が協働することが必要です。地球生命研究所は学生が学び自立した研究者へと成長する理想的な環境を備えています。ここでは、複数の学問領域の専門家にならなくても構いません。生命の起源を探求する情熱があれば、どの分野の学生でも仲間として歓迎します。
生命の起源に関する研究は、異分野の研究領域の協働と発展を促し、将来大きな進化を遂げるでしょう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Sebastian Sanden物質理工学院 応用化学系修士学生(国際大学院プログラム(A)文部科学省国費留学生)▶ 東工大への進学を決めた動機を教えて下さい。 学部生の時に理化学研究所インターンシップで東京工業大学の原正彦先生研究室に短期滞在し、初日から生命の起源を探求する研究に心を奪われました。最先端の分析機器が利用でき、自分の研究目標を定めることができる環境で、科学界の最前線で大躍進できると思い、東工大の大学院へ進学しました。▶ 地球生命研究所に来て印象的なことは、どんなことでしたか? 生命の起源に関する文献調査を終え、この分野を築いた研究者について知るようになりました。地球生命研究所のワークショップやセミナーにおいて、正にそのような著名研究者本人に会えることは嬉しく、今後追求すべき重要な科学的課題について多くを学ぶことができました。その他にも、すずかけ台でのバーベキューなど、世界中の人達と出会い、地球生命研究所特有の雰囲気や新しい文化を楽しむ機会は多いです。▶ 研究の内容を教えてください。 細胞状の生命が形成される前に初期惑星上に存在していたであろう基礎的な分子要素を研究しています。43億年前の地質学環境下を再現し、ある化学成分を合成しようとしています。この成分は、パズルの最初の1ピースとして、生命有機体を発生させ、以降、自然界で化学進化してきました。細胞の代謝作用を観察し、エネルギー消費や分子要素が潤沢に存在するかという観点において、新たな自己形成体を維持するのに必要な細胞内の部分を特定しようとしています。地球生命研究所の主任研究者/准教授のShawn McGlynn先生と密接に研究を行っています。▶ 修了後は、どのような将来を展望していますか? 約1年間日本に住んでいますが、生活の中で未だに毎日新しい発見があります。他の留学生が自国や日本での経験について話すのを聞くと、物事を別の捉え方をするのだと気づくようになりました。また、地球生命研究所が国際的なコミュニティであるため、他の国も訪れてみたい、更に研究職を追求したいと思います。▶ 進学希望者に向けてのメッセージをお願いします。 生命の起源に関する研究は、異分野の研究領域の協働と発展を促し、将来大きな進化を遂げるでしょう。基礎研究ゆえ、自分の好奇心を膨らませることで新たな視点を持ち、興味を追求することで新たに熱意を持つことができます。学生にも公開されている地球生命研究所のセミナーに参加することをおすすめします。そうすれば、自分に合う感覚を感じることができるでしょう。