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廣瀬所長が藤原賞贈呈式に出席しました

ELSIの廣瀬敬所長が藤原賞を受賞し、贈呈式が2016617日に行われました。

藤原賞は藤原科学財団によって1959年(昭和34年)に創設されました。科学技術の発展に卓越した貢献をした者に与えられる賞で、数学・物理、化学、工学、生物学・農学、医学の分野から毎年2名が選ばれます。

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(写真1) 贈呈式の様子

評価のポイント

廣瀬所長は、地球深部の高圧高温の状態を実験で再現することで、私たちが実際に見ることが出来ない地球深部のマントル下層およびコアの構成物質の構造、物性、組成を同定し、その振る舞いを解明することに成功しました。

地球は半径6400km、中心からコア、マントル、地殻と大きく分けて3つの層に分かれています。マントルはさらに4層に分かれており、深さ2600kmから2900kmのマントル最深部のコアとの境界には、D''層と呼ばれる層があります。(図1

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(図1)地球内部の図

マントルの他の層は1970年代にどのような物質で出来ているか明らかになっていましたが、D''層は2000年代に入ってもその姿が明らかになっていませんでした。

廣瀬所長らはD''層の正体の解明を目指し、ダイアモンドアンビルセル装置(写真2)とレーザー装置を使い、地球の高圧高温状態を再現する実験を行いました。そして深さ2600kmに匹敵する125万気圧、温度2500Kの実現に成功し、D''層が「ポストペロブスカイト」からなることを2004年に世界で初めて発見しました。

この発見からD''層の「ポストペロブスカイト」は層状の結晶構造をとり、これが地球の地震波伝播・マントル対流、自転運動などに重要な影響を及ぼしていることが明らかになりました。

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(写真2)高圧状態を再現するダイアモンドアンビルセル装置

さらに廣瀬所長らは、2010年に地球中心部に匹敵する364万気圧と5000Kを超える圧力と温度を達成し、内核の主成分である固体鉄の構造を決定することに成功しました。そこから、地球の中心は鉄の原子同士が高密度で結合する六方最密充填と呼ばれる構造であることを突き止めました。

また2014年には、地球コアに太陽の水素が存在することを突き止め、そこから地球形成時には現在の海水の80倍の水が存在したことを示唆し、地球誕生のシナリオや水の起源の解明に向けて大きな一歩を踏み出しました。

以上のように、廣瀬所長は地球内部の高圧高温の環境を再現する実験技術を発展させ、地球内部の構造や組成を解明し、そこから地球の起源やダイナミクスの理解へ大きく貢献したと評価され、このたびの受賞となりました。

廣瀬所長の喜びのコメント

大変光栄に思います。研究室の仲間、日々サポートしていただいている方々に深く感謝します。これを励みに更に頑張りたいと思っています。

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(写真3)贈呈式での廣瀬所長