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火星の水が失われた歴史を解明-地球と火星の運命はいつどのように分かれたのか-

地球生命研究所(ELSI)の元研究員 James M. Dohmが研究に参加した論文が5月15日発行の欧州科学雑誌「アース&プラネタリー サイエンス レターズ(Earth & Planetary Science Letters)」に掲載されます。

国立大学法人 東京工業大学
国立大学法人 名古屋大学

要点

・火星隕石の化学分析データと理論計算により火星の水が失われた歴史を解明
・火星の初期水量の50パーセント以上が誕生後約4億年間で大気を通じて宇宙空間へ流出
・現在発見されている量を上回る大量の氷が火星に存在する可能性を提示

概要

東京工業大学大学院理工学研究科の臼井寛裕助教と名古屋大学大学院理学研究科の黒川宏之博士研究員らは、火星誕生から約4億年の間に火星表層の初期水量の50%以上が大気を通じて宇宙空間へ流出し、また残りの水の大部分は火星の気候変動により氷となって現在でも火星の地下に存在する可能性があることを突き止めた。

水が大気を通じて宇宙空間に流出した場合、残存する水の水素同位体比の変化としてその履歴が残ることに着目し、火星隕石に含まれる水の高精度水素同位体分析データを用いた理論計算によって水が失われた時期や量を明らかにした。火星が水を失った歴史を突き止めたことは、今後の火星探査計画への示唆や、地球型惑星が生命誕生にとって重要な海を持つ条件の理解につながると期待される。   現在の火星は極域に少量の氷が発見されている乾燥した惑星であるが、かつては大量の水が存在したことが探査研究などにより示唆されてきた。しかし、水がいつ、どのように失われたかは惑星科学における未解明の大きな謎だった。 この成果は5月15日発行の欧州科学雑誌「アース&プラネタリー サイエンス レターズ(Earth & Planetary Science Letters)」に掲載される。

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図:火星隕石の分析によって得られた火星表層の水の水素同位体比の時間変化(上)と理論計算で得られた火星表層の水の量の時間変化(下)。水の存在量は火星地表面で平均した場合の水の厚みで表している。火星誕生後約4億年間で初期水量の50%以上が失われたこと、現在の火星の極地域に発見されている量よりはるかに多い氷が存在することを示唆している。図は本研究論文(Kurokawa et al., 2014)をもとに改変。

論文情報

Evolution of water reservoirs on Mars: Constraints from hydrogen isotopes in martian meteorites, H. Kurokawa, M. Sato, M. Ushioda, T. Matsuyama, R. Moriwaki, J.M. Dohm, T. Usui, Earth and Planetary Science Letters, Volume 394, 15 May 2014, page 179-185.
DOI:10.1016/j.epsl.2014.03.027

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関連研究者

東京工業大学 地球生命研究所 研究員  James M. Dohm  E-mail: jdohm_at_elsi.jp

お問い合わせ

大学院理工学研究科 地球惑星科学専攻
臼井寛裕
Tel: 03-5734-2616 Email: tomohirousui_at_geo.titech.ac.jp