2015年6月17日に茨城県立並木中等教育学校で、「出前授業」が行われ、ELSIからは佐藤研究員が講師として参加しました。
佐藤研究員の講義タイトルは、「地球と生命の歴史~フィールド地質学から読み解く~」
佐藤研究員はまず、生徒が自由に「恐竜の絶滅の原因」を考え、発表する時間を作りました。
「巨大隕石落下により地球が塵に覆われ、寒冷化が起こり、植物が死滅し、恐竜が絶滅した」という答えが最初に出ると他の原因があまり挙がらなくなってしまいました。
そこで、佐藤研究員がここで出る意見は全部正解であり、自分の意見を発表することが大事であるという研究者としてのスタンスを生徒にアドバイスをしました。すると先ほどと比べ意見がたくさん挙がるようになりました。
佐藤研究員のアドバイスにより、自由な意見が飛び出すようになりました
その後は、佐藤研究員の専門分野である地質学の授業です。
佐藤研究員は、持参した遠洋深海チャートを生徒に触らせ、よく観察させました。
遠洋深海チャートには、赤鉄鉱を含む赤い色の部分と、黄鉄鉱を含む黒い色の部分があります。海水中の鉄は、酸素が十分あると酸化されて3価の赤鉄鉱になりますが、貧酸素な環境だと2価の黄鉄鉱として堆積物中に残ります。
このことから、2億5千万年前の黒い遠洋深海チャート層は、長期に渡る海洋無酸素事変の証拠とされ、それが海に棲む生物の大量絶滅を引き起こしたのではないかと考えられると地質学の読み解き方を教えました。
遠洋深海チャート(遠洋深海で溜まったマリンスノーの塊)を観察する生徒
今回の出前授業では、約55名の高校生との交流を通じ、ELSIの研究を発信することが出来ました。ELSIでは、今後も一般の方々に講義を行う機会をたくさん設けていきたいと考えています。どうぞご期待ください。