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イベントレポート

一般講演会「宇宙に生命はいるのか」を開催しました

2015年1月13日、第3回ELSI国際シンポジウム一般講演会「宇宙に生命はいるのか」が開催されました。講演はNASAアストロバイオロジープログラムのMary VoytekディレクターとELSI井田 茂副所長の2人によるもので、日英同時通訳で行われました。

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NASAアストロバイオロジープログラムのMary Voytekディレクターの講演


「地球生命は宇宙でありふれた存在なのか」
aDSC_0836.jpgNASAアストロバイオロジープログラム
Mary Voytek ディレクター






Voytekディレクターは、最近の興味である極限環境で生きる微生物を紹介しました。
地球には、超高温または低温、深海のような高圧、太陽光が届かない、水が一切ない、酸や塩分濃度が非常に高い、といった様々な極限環境があります。そしてそのような過酷な環境で生きている微生物が地球には多数存在しています。そこから地球外の環境でも生きる生物の存在の可能性を考えることが出来るのです。


「月の形成:地球生命との関わり」
aDSC_0895.jpg東京工業大学 地球生命研究所 教授・副所長
井田 茂 副所長






月のおかげで潮の満ち引きが起きるというのは良く知られているところです。また、地球の自転が安定しているのも月があるからです。自転が安定していなければ、例えば大きな気候変動が起きるなど生物の存亡にも多大な影響を与えていたでしょう。
現在、火星サイズの天体が原始地球に衝突したことで、月が形成されたというのが有力な説で「ジャイアントインパクト説」と呼ばれています。
しかし、最近のコンピュータ・シミュレーションによる研究では、月を形成しているのは地球ではなく衝突してきた天体のマントル物質だという結果になりました。一方で、アポロ計画で持ち帰った月の石を最新の技術で分析したところ、色々な元素で月と地球マントルの同位体比が完全一致することが分かりました。この大きな矛盾は何を示すのでしょうか。地球に一番近い天体の月、しかしまだその形成には多くの疑問が残されているのです。

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Mary Voytekディレクターにサインを貰う高校生ら