私が博士研究員としてELSIに初めて来てから約1ヶ月が経過した。ここに来る前は名古屋大学で理論天体物理学の博士課程にいた。私の研究は惑星/衛星の形成だ。新人として、ELSIの印象を共有したいと思う。
第一に、私は入り口に入るとすぐに私たちを迎えてくれる、大陸型のテーブルがあるコミュニケーションルームのオープンスペースを気に入っている。これまで何度か東京工業大学を訪れたことはあり、このスペースは知っていたが、そこで多くの会談や会合が行われていることは知らなかった。私はここのリラックスした雰囲気がとても良いと思う。イベントの予定がない場合、角でちょっとしたミーティングをしている人や、一人で使っている人がいる。私も時にはリラックスした雰囲気の中で仕事をしたいときにこのスペースを使うことがある。私にとって楽しいことは、自分の研究と文化的背景が私とまったく違う人の隣りに座っていることがよくあるということだ。
共生と言えば、毎日午後3時のコーヒーブレイクの伝統にも感銘を受けた。研究者だけでなく秘書や事務職の人も科学的な談話や四方山話に参加する。「天文学者ラウンジ」や「生物学者のためのお茶室」などではなく、みんなが一緒に休憩をとるということは素晴らしいアイデアだと思う。コミュニケーションルームでは、金曜日の夕方にビールと軽食を楽しむソーシャルアクティビティELSI Izakayaが行われる。日本国外の研究機関ではこのような会があることを知り、日本の研究機関のほとんどがそうではないことを残念に思う。私は同僚と楽しい時間を共有することができてうれしく思う。名前が示すように、その空間では多くの種類のコミュニケーションが行われている。
私はELSIが多様なトピックを一緒に追求している多くの活発な研究者を抱える真の学際的な研究所であることを知った。ラウンドテーブルディスカッションに参加する機会が何度かあった。ここでは全く異なるフィールドの人々が、そのフィールドのテーブル主催者に質問をすることができる。この活動は、共通の背景を持たない人々のために考案されたものだから、自分自身の分野から遠いトピックを選択することをお勧めする。全く新しいトピックを学ぶことは、自分の仕事に直接つながっていなくても楽しい。これらの議論は私が想像していた以上に専門的だった。主催者がトピックの基本的な考え方を説明し終わる前に、参加者は割って入って主催者を質問攻めにする。非常に基本的な質問もあれば、より高度な質問もある。異なる学問の観点から参加している人々を見ることは興味深い。
ラウンドテーブルディスカッションの中で、私は2つのことに気付いた。第一に、人々は少なくともその分野の基礎知識を持っていることだ。これは私の推測に過ぎないが、トピック自体について学んだことはなくても、ELSIで一定の時間を過ごすことで関連するトピックを知る機会があるのだろう。私が知らない言葉が使われることもよくある(まだまだ修行が足りない...)。第二に、さまざまな人々が議論を向上させるということだ。例えば惑星科学者が生物学者に質問すると、化学者がコメントを追加する。私の印象は(出席するだけで楽しいという私の態度と違って)出席者はトピックと彼ら自身の研究との境界を作っていないということだ。研究者のグループが行うディスカッションは、ジャズ音楽のようなものだ。それは時には若干異なる方向に発展するが、人々はそれを楽しんでいる。また、ELSIで行われている研究を代表するさまざまな分野の基礎を学ぶ新たな研究グループ「ELSI Youchien」も楽しみにしている。
ELSIの副所長であるJohn Hernlundは、ELSIは国内外でも独特であるという。私も彼に同意している。 ELSIの各個人は自分のアイデンティティと研究対象を持っているが、同時に、お互いにリスペクトしている。彼らはそれが価値があると思えば、喜んでアイデアや文化を共有する。残念ながら、私はELSIに3ヶ月しか滞在できない(コペンハーゲンのNBIAに移る)。しかし、将来この素晴らしい快適な機関に戻ることができればと思う。私はコペンハーゲンとELSIが近い関係にあり、ELSIに頻繁に訪れることができ、ELSIの同僚と一緒に仕事ができることを望んでいる。