私の11月のELSI訪問は相次ぐ科学的インスピレーションの連続だった。ロサンゼルスから成田空港までのフライト中、巨大な氷に覆われた衛星の海洋構造についての研究にブレイクスルーを発見した。私の以前の測定値を理解するシンプルな方法を発見したのだ。この新しい考えが、私がELSIで完成させようとしていることの第一歩となるだろう。フライト中はまた私のホストであり長年の共同研究者であるJun Kimuraとの仕事の準備もできた。大西洋を横断している間、土星の巨大な衛星であるタイタンの海洋構造に対するアンモニアの効果をシミュレートするための新しいデータセットを作っているとき、JunはELSIで木星の最大の衛星であるガニメデの海洋組成は時とともに変化したか、またそれが生命を維持する能力にどう影響したかを計算するのに忙しかった。この写真は、私たちが2人の考えを融合し、氷で覆われた世界の内部構造を予測することについて話している様子である。その予測はガニメデのJUICEミッションやエウロパへの将来のミッションで試されるかもしれない。
私がフライト中に発見した「ブレイクスルー」は、訪問中も続いた。東京の列車時刻表を見ていたら、あわただしい喧騒の中で静けさを感じ驚いた。休暇に絵のような街並みを歩いていると、氷の世界の海洋について理解するための私の研究に適用できる新しい方法を思いついた。インターナショナルハウスに滞在するのも、とても楽しい。インターナショナルハウスにある私の小さいアパートは居心地が良く、便利だ。また、英語圏のビジターに日本語レッスンを提供するということを知ってうれしく思った。だんだんとレッスンの成果が表れ、最後の方では、街角で素敵なお嬢さんからお弁当を買って支払いをするのも「ほとんど」問題なくできるようになった。私は文化に浸りながら、刺激を受けている自分を感じる。ELSIのリフォーム済みの美しい建物のゲストオフィスにある私の机に座っていると、リフレッシュした気持ちで集中できる。
ELSIのパブリックスペースで仲間とのランチディスカッションに参加すること、そして毎日午後にコーヒーを飲む習慣も、だんだん楽しめるようになった。そのことを考えると、午後3時のチャイムが鳴り、別の世界の深海の生物についてのアイデアを交わしたときの畳の部屋と新鮮な杉の木の香りを思い出す。
Steve Vance
Planetary Chemist and Astrobiologist
Europa Clipper Acting Staff Scientist
Jet Propulsion Laboratory, California Institute of Technology